Solitude Without Loneliness

田島隆治ストーリー


SWL leather works の代表・クラフトマンの田島隆治(たしまりゅうじ)です。

 

「上質でありながら、男らしさや無骨さを感じることができる。
長く使えるタフさがあり、長く使いたいと思える美しさがある。」

 


私はそんなレザーアイテムをつくりたくて、厳選した最高品質のレザーのみを使用し、
効率が重んじられる時代の流れに逆行してでも、手染め・手縫い・手彫りという
妥協なきオールハンドメイドでの製作にこだわっています。

20代の頃、一級建築士として住宅の設計をしていた私が、なぜ個人でレザーブランドを立ち上げ、
このようなこだわりを持つようになったのか、少しだけお話ししたいと思います。

 


感銘


どんな人にも多かれ少なかれ、自分の人生で感銘を受けたものがあると思います。

私にもそれがありまして、以前携わっていた建築の世界でも、現在身を置いているレザーの世界でも、
芸術や音楽や映画、どんなジャンルにおいても、私が人生で感銘を受けたものには共通点があります。


それは、
 

「他にはないオリジナリティがあり、その美しさやかっこよさが色褪せないもの」

 

そういったものに出会えると、心の底からワクワクするし、ちょっと大げさな言い方になるかもしれませんが、
生きてる喜びを感じることができるのです。

また、そういったものはその場の感動だけでなく、その後もずっと私に力を与え続けてくれるのです。


 

そんな経験を重ねていくうちに、自分もそういったものを生み出せる人間になりたい、
与えられる側から与える側の人間になりたいという想いが、ふつふつと湧いてきました。


だから私は、そういったものを生み出している人達はどんな生き方をしてきて、
どうやってそんな人間になれたのかということを、常に気にしていました。
そして色々調べたり、話を聞いたりしているうちに、あることに気付きました。


それは皆、「好きなことを生業にした人」だということ。

私が感銘を受けてきたものは「好きなことを生業にした人」の手から生み出されたものだったのです。


確かによく考えてみると、私が感銘を受けてきたものは、

「本当に好きじゃなければ、ここまではできないだろうな。本当に好きだから、これだけのことができたんだろう。」

と思えるものばかりなんですよね。



 

だから私も、そういったものを生み出せる人間になるためには、
本当に好きなこと、本当にやりたいことを見つけなければいけないと思ったのです。
 

でもそれを見つけ、生業にすることは、簡単ではありませんでした。



 


覚悟、そして出会い


私は、関東の大学で建築を学ぶかたわら、海外旅行に目覚め、色々な国を旅してきました。

そんな中で、「本当にやりたいことをやって生きている大人」とたくさん出会い、
私もそんな生き方をしたいと憧れを抱くようになりましたが、

いざ就職活動となると自分が本当にやりたいことは何なのかはっきりせず、
ひとまず大学で学んだ事を活かそうと思い、大手の住宅建設会社に入社しました。

本当にやりたいことが見つかるまでと思って。

 


住宅の設計担当として実務を2年経験した後、両親が大学に行かせてくれたことへのけじめだと思い、
猛勉強して一級建築士の免許を取得しました。

あとは本当にやりたいことが見つかれば、すぐにでも会社を辞めようと思っていましたが、
なかなか辞める決心が付かず、そこからあっという間に2年が経ってしまいました。

それには2つ理由があって、1つはその仕事が嫌いではなかったから。
住宅設計の仕事自体とても楽しく、お客さんから嬉しい感想をいただく度に、やりがいも増していきました。

そしてもう1つは、休みの日に「本当にやりたいこと」を探してても、見つからなかったから。


 

「やりがいもあるし、給料も良い。でもこの仕事が、本当に自分のやりたかったことなのか?
何か他にあるような気もするが、でもそれが何か分からない、、」
 

そんな悶々とした日々を過ごしていたのですが、二十代最後の年、
「一度きりの人生、、今しかない」と覚悟を決めました。
 

「会社を辞めて、自分が興味のある事を片っ端からやってみる。
そして自分が本当にやりたいことは何なのか見つけて、それを絶対に生業にする」と。




建築や家具や空間デザインをひたすら考えたり、ミシンを買ってきては服やバッグをつくってみたり、
クラブイベントのデコレーションをつくったり、好きなように絵を描いたり、
紙粘土で自由に形をつくってみたり、、

 

そうやって興味のある事を色々と同時にやっている中で、レザークラフトもちょっとかじり始めた頃でした。

あるレザークラフトマンの作品と出会い、雷に打たれたような衝撃を受けたのです。
 

学生の頃から革製品は好きだったのですが、
その作品は今まで見てきた革製品とは明らかに一線を画す、とてつもない存在感を放っており、
一瞬で心を奪われてしまいました。
 

そして帰路の途中、こう思ったのです。



 

「革であんなかっこいいものがつくれるのか、、オレも革であんな作品をつくれるようになりたい。
よし、革一本に絞って、本気でやってやる」と。



 


寂しさのない孤独


 

会社を辞めて3年後、32歳の時、本格的に革という素材を使ってものづくりを始めました。
独学で、しかも初めから手染め・手縫い・手彫りのオールハンドメイドで。

なぜかというと、私が衝撃を受けたクラフトマンがそうだったから。

オールハンドメイドじゃないと、あのような存在感を放つ作品はつくれないと確信していたからなんです。



 

様々なアルバイトをして食いつなぎながら、とにかく自分が納得のいくものを追い求め、ひたすらつくり続けました。

そうして3年ほど経った頃、自分なりに自信作が出来て、それをプロの方に見てもらうと、

「これで食べていくのは難しいと思うよ。一級建築士の資格を持ってるなら、そっちで食べていった方がいいんじゃない?」

と言われ、奈落の底に突き落とされたような気持ちになりました。




「これ以上何も思いつかない、、自分には向いてないんじゃないか、、」と、革を使ったものづくりを諦めようかと思いました。

「会社を辞めてから6年、オレが今までやってきたことはなんだったんだろう、、」と途方に暮れていた時、

友人から「今までやってきたことは、決してムダにはならないよ」と、

Solitude Without Loneliness(=寂しさのない孤独)という言葉を教えてもらいました。

その言葉に背中を押され、「もう少しやってみれば、何か見えてくるかもしれない」と、
再びガムシャラにつくり続ける日々が始まりました。



 

そして、革を使ってものづくりを始めて5年、37歳の時、
Solitude Without Lonelinessの頭文字を取り、SWLという屋号で自分の作品を販売し始めました。


まだまだ納得のいく作品ができた訳ではありませんでしたが、とにかく販売しないと何も始まらないし、
販売しながらでも作品にも磨きをかけていくことはできると思い、全国のハンドメイドのイベントに出店して周りました。

 

私は当初から、他の人はここまでやらないだろうと思うくらい、手間と時間をかけて作品をつくっていたので、
周りの革作家さんの作品と比べるとどうしても高価なものになり、最初はなかなか売れませんでした。

それでも大量生産、薄利多売には絶対に走らないと決め、本当に自分が良いと思うのものを信じ、つくり続けました。

すると少しずつ、SWLのファンになってくださる方が、全国に増えてきました。



 

そうした中で、店舗は構えずアトリエのみのスタイルで、全国のお客さんとメールでやり取りしながら、
オーダーメイドでレザーアイテムを製作するという、独自の製作・販売スタイルを築いていきました。

 

そして次第に、メールのやり取りは何度もしているけど、お会いしたことがないという常連のお客様も増えてきたので、
そういった方と会える機会を設けたいと思い、2015年から各地で個展を開催し始めました。

今まで、大阪、東京、熊本、群馬で開催したのですが、沢山のSWLファンの方が来てくださり、
それぞれご愛用のレザーアイテムを嬉しそうに見せてくださることが、私も心から嬉しかったんですよね。



 

それがきっかけで、ファンの皆さんが気軽に集えるような場所をつくりたいと思うようになり、
2018年の12月、満を持して、アトリエを併設した店舗を構えました。
 

そして2019年、多くの方に支えられ、SWL設立10周年を迎えました。





 


お楽しみはこれから


 

私がずっと探し続けてきた、本当にやりたかったこと、、

それは、自分が今まで感銘を受けてきたような、

「他にはないオリジナリティがあり、その美しさやかっこよさが色褪せないもの。」をつくること。

そしてあるクラフトマンとの出会いにより、革という素材を使って、
そういったものをつくりたいと思うようになりました。



より具体的に言うと、冒頭でお話しした、

「上質でありながら、男らしさや無骨さを感じることができる。
長く使えるタフさがあり、長く使いたいと思える美しさがある。
そんなレザーアイテムをつくること」


なのです。



人はいくつになっても、夢中になれるものを持っていれば、
それを生業にしてても、してなくても、幸せだと思います。


ただ人は、人生のかなりの時間を仕事に費やします。


その時間を、飯を食うのも忘れるほど夢中になれることに充てたとしたら、、

そりゃあ、良いものを生み出しますよね。

人に大きな喜びや感動、そして力を与えることができますよね。

それが自分の喜びや感動につながる、そして力になる。

そしてまた良いものをつくることができる。そんな生き方をしたかったのです。

だから本当にやりたいことを生業にしたかったのです。




そして今、私は本当にやりたいことを見つけ、それを生業とし、日々製作に取り組んでいます。


そういった生き方をしたことで、常に「今が一番楽しい」と思える人生を歩むことができています。

会社を辞めた時には、本当にやりたいことを見つけ、それでちゃんと飯が食べれるようになるには、
まさか10年以上かかるとは想像もしていませんでしたが。笑

でもその分、ものづくりを通して、ファンの方々と分かち合える喜びや感動も、想像を超えるものでした。

さらに、自分がこれからどんなものをつくっていけるのか、これからの人生がどれだけ楽しくなっていくのか、
想像もできないくらい楽しみでしょうがないです。

本当につくりたいものを死ぬまでつくり続け、たくさんの人と喜びや感動を分かち合っていきたいと思っています。


The Best Is Yet To Come.





最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
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